食品試験って何?
2020年11月上旬から12月中旬にかけまして、福岡県福岡市早良区にある福岡記念病院PET・健診センターにて「食品試験」をおこなわせていただきました。 多くのモニター様にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。 今回は、そんな「食品試験」についてお話しさせていただきたいと思います。
食品試験とは
食品試験とは、いわば食品における治験とも言えます。
治験の場合、お薬の安全性、有効性を調べ、国に承認を得るために実施されますが、食品試験は食品の安全性、有効性を調べるための試験となっています。
それでは、どういった食品に対して食品試験が行われ、どのようにわたしたちの生活に影響があるのかみていきましょう。
なぜ食品試験を行うの?
皆様一度は「トクホ」や「機能性表示食品」といった言葉を耳にされたことがあると思います。 「何となく、健康に良さそう」という印象があると思います。
では、それらは健康維持のためにどのように役立つものなのでしょうか。 どんな食品がこれらの表示をして販売されているでしょうか。
「トクホ」や「機能性表示食品」はまとめて保健機能食品とも呼ばれ、どちらも健康の維持増進に役立つ機能性を持った食品ですが、2つには共通点や違いがあります。
それぞれの特徴は以下のようなものがあります。
トクホ(特定保健用食品)
- バンザイで背伸びををしている人のマークがついています。
- その食品の商品を使用した人での試験を実施し、有効性や機能性、安全性に科学的に根拠を示す必要があります。
- メーカーなどの事業者が消費者庁に申請し、消費者庁が審査をおこない食品ごとに許可を出します。
- 事業者は申請や届け出内容の情報を公開する義務はありません。
- 表示の許可が出ると「この商品は~する機能があります」という表記が可能です。
現在、消費者庁によって認可され届けされている健康表示は、下記のようなものがあります。
●体脂肪・中性脂肪
体脂肪を減らすのを助ける
体に脂肪がつきにくい
血中の中性脂肪の上昇をおだやかにする など
●血圧
血圧高めの方に
●血糖値
血糖値が気になる方へ
糖の吸収をおだやかにする など
●コレステロール値
コレステロールを低下させる など
●歯
歯を丈夫で健康に保つ など
●腸
おなかの調子を整える など
機能性表示食品
- マークは特にありませんが、「機能性表示食品」の記載が必ずあります。
- 販売前に事業者が消費者庁に届け出をおこない事業者が責任をもって表示をします。
- 必ずしもヒトでの試験を実施する必要はなく、商品の効果を示す研究論文や文献調査のみで科学的根拠を示しも届け出することも可能です。
- 事業者は申請や届け出内容の情報を公開することが義務づけられています。
- 「この商品は~という機能があると報告されています」という表記がされます。
以前は、トクホとサプリメント以外の食品は機能を表示することができなかったため、どのような効果があるのか消費者がわかりにくいという状況でした。
そこで、わたしたち消費者が正しく情報を得て選択できるよう、2015年に新たに、「機能性表示食品」制度ができました。
どちらも、健康維持に一定の効果がありますが体調や体質によって個人差があるため効果は一律ではありません。普段の生活の改善と共に、用法・用量を守って摂取することが必要です。
トクホ、機能性表示食品それぞれの特徴をみてきましたが、大きな違いとしては、トクホは消費者庁に審査され、許可を得て表示されており、機能性表示食品は、審査はありませんが届け出の内容を公開する必要がある、という点です。 ただ、どちらも有効性、安全性の科学的根拠が必要となります。
さて、もうお分かりいただけましたね?
そうです、これらのトクホや機能性表示食品に、特定の機能に安全性・有効性が認められたという表示をおこなうためにも食品試験が必要になってくるのです。 このように、食品試験にご参加いただいたモニター様や、ご協力いただいたご施設様、商品開発に携わった事業者の方々の手を経て、健康維持に関する様々な機能が表示された商品がたくさんの方々のお手元に届けられているのですね。
今まで何気なく食品飲料売り場で手にしていた商品がどのような表示・説明がされているか、皆様もぜひご覧になってみてください。